ピラティスとは?基本知識1. 心、身体、精神を調和させ身体の機能を調整するメソッド
ピラティスとは、1883年にドイツで生まれたJoseph Hubertus Pilates(ジョセフ・ハベルタス・ピラティス)氏によって考案されたエクササイズです。
ピラティス・メソッド・アライアンスによると、ピラティスとは、「a method of exercise and physical movement designed to stretch, strengthen, and balance the body.」 (1)、つまり、身体の柔軟性を高め、強化し、バランスを整えるためのメソッドです。
心と身体、そして精神を調和させながら鍛えていくことで、筋肉や関節の柔軟性を向上させ、軸を伸長し、バランス力やコントロール力を高め、安定した強い身体を作り、活力を回復させ、ストレスを解消し、疲労と慢性の痛みを減少させるなど、さまざまな効果が期待できます。
呼吸と組み合わせられたエクササイズのパターンを実践することで、アスリートのトレーニングやリハビリに効果があることが、さまざまな研究により証明されています。
※1)PMA / The Pilates Method / What is Pilates? / 2022.3.22
ピラティスとは?基本知識2. ピラティス氏自身の病気の克服のために開発されたエクササイズ
ピラティスは、考案者であるピラティス氏自身が様々な病気を持病としてもっていたことが開発のきっかけとなりました。病弱な身体を克服するために様々なスポーツや治療法を研究し、それらの組み合わせたものがピラティスの原型だと言われています。
ピラティス氏が学んだ方法論の中には、ヨガもありました。1800年後半、ヨガを含む東洋の考え方がヨーロッパにわたり、ブームとなったのです。(ニューソートムーブメント)
彼は、生活豊かにするためにこころを制御する方法論であるヨガの要素を、メソッドの中に取り入れました。
そのため、ピラティスは、「ハタヨガ」(身体を使ってポーズをとりながら行うヨガの種類)の一種ということができると、私たちは考えます。
ピラティスとは?基本知識3. ピラティスと他のトレーニングの違い
「ピラティスとヨガの違いは?」という質問をよく受けますが、その最大の違いは「動きの質」だと、私たちは考えます。
ヨガでは、可動域を広げるために、可能な限り大きく動かすことがありますが、ピラティスではそのような動きは行いません。ピラティスでは、筋肉や関節の可動域よりも、動きの質を重視します。正しく身体を動かせる範囲の中で動きの質を上げていくことが目的だからです。
アメリカに本社を置くバランスド・ボディ社によると、ピラティスとは「Mind-body exercise」 (2)、つまり、ただ身体を鍛えるのではなく、「心と身体のエクササイズ」です。自分の身体に意識を向け、深く集中しながら心と身体の状態を観察し、常に心身との対話をしながら動いていくことが、このメソッドの本質といえるでしょう。
ピラティスとは、ムーブメントの回数や可動域の大きさよりも、意識と集中、そして動きの質に重点を置いているため、誰でも安全に、簡単に、身体の柔軟性や関節の可動域の制限なく、初心者でも安心して取り組めるメソッド。
これが、ヨガや筋トレなどのトレーニングや、整体、マッサージとの大きな違いです。
※2)Balanced Body / About pilates / 2022.3.24
ピラティスとは?基本知識4. ピラティス・メソッド=「コントロロジー」
ジョセフ・ピラティス氏の代表的な著書を翻訳してまとめた『コントロロジー ピラティス・メソッドの原点』 (※3)では、ピラティス氏は繰り返し「体と心のバランス」の大切さについて述べています。
彼は、「体と心を自分の意志でコントロールする能力を、同時に同等に発達させることが最優先すべき自然の法則」と説いており、そのための方法論を、「コントロロジー」と命名しました。
心、身体、精神を完全に調和させ、心(頭、脳)で筋肉をコントロールしようとすることでふだん眠っている何千という筋肉細胞と脳細胞を刺激し、脳の新しい領域を活性化させ、頭の機能を高めることができると、彼は述べています。
それが、今のピラティスの原型となった考え方なのです。
ピラティスとは、ただ身体を鍛えるためのエクササイズではなく脳の機能を押し上げ、免疫系やホルモン系を含む身体の機能を調整し、心をポジティブな状態に導くことで、ライフスタイルまでも変えるのです。
※3)ジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティス著・川名昌代訳『CONTROLOGYコントロロジー ピラティス・メソッドの原点』有限会社万来舎・2009年
ピラティスとは?基本知識5. ピラティスがなぜ、こころの状態をよくするのか?
ピラティスをすると、「活力が湧く」、「前向きな気持ちになる」、「挑戦をしたくなる」、「人への感謝の気持ちが湧く」、「ありのままをみられるようになる」等、心への様々ポジティブな影響が生まれますが、それは何故でしょうか?
その理由は、ピラティスの最大の特徴である「身体の深部、細部に意識を集中させ、正しく動かす」という方法論にあります。
人は、新しい何かに気付いたり、閃いたりしたときに、脳活性化します。(ドイツの心理学者、カール・ビューラー氏が提唱する「アハ体験」という概念。)
ピラティスのムーブメントの中で、自身の内部への気づきや、「こんなふうに身体が動くんだ!」という驚きが生まれると、脳に新しいシナプスが繋がり、脳の機能がコンディショニングされ、不安や恐怖などを司る脳の部位の過剰な反応を抑制します。
そのため、自然と前向きでポジティブな心になれるのです。
また、ピラティスの「ハンドレッド」や「スイミング」に代表されるような、呼吸と共にリズミカルに動くムーブメントでは、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌を脳内で促す効果があります。セロトニンは、精神を安定させる働きを持つほか、良質な睡眠へと身体を誘導するメラトニンというホルモンの原料ともなるため、心の健康を保つのに欠かせないホルモンです。
ピラティスで行う胸式呼吸もまた、全身を活動的にする交感神経を刺激する呼吸法です。呼吸とともに、神経系が多く張り巡らさられる背骨周辺を微細に動かしていくことで、背骨のバランスが整い、姿勢が改善し、神経の働きが促され、自律神経バランスが整います。
これらの要素により、ピラティスは心を活性化させ、精神力を高めるのです。
ピラティスとは?基本知識6. 当店の提供するピラティス
ピラティスとは、「動きの質」を重視し、細かな動きやポジションに意識を向けることで、全身の神経と脳を結びつけ、刺激することで、脳にかかる負荷を分散させ、豊かな心と身体、ライフスタイルを作っていると私たちは考えます。
ピラティスのムーブメントを通して、心身の司令塔である「脳」の機能を正常化していくことで、身体本来の機能を取り戻せるのです。それは腰痛だけ、ストレスだけ、という「部分」ではなく、心と身体を一体として改善していきます。
繰り返しになりますが、ピラティスは単なるエクササイズではありません。
それは、心と身体、精神のコントロール力を高め、安定した強い心身を作り、豊かでポジティブなマインドを育てる、ライフスタイルそのものだと、私たちは考えます。
ピュアピラティス
私たちはピラティスの伝統や歴史に敬意を示しながら本質を学んできました。同時に新しいサイエンスをとりこむべく、さまざまなフィットネス、ボディワーク、マインドフルネス、呼吸法などを取り入れてきました。しかし、そういう中で、ピラティスの本当にピラティスらしい感動のエッセンスがうすれてしまったことに気づきました。私たちは、ここにもう一度原点回帰として、純粋なるピラティス「Pure Pilates(ピュアピラティス)」を提供することとしました。